はじめに
一般的な物件は、新築時から長期修繕計画を立て、5年毎に見直しをして、資金計画を立てます。
期間も最低30年程度を想定して行います。
昭和に入ってから100年マンションとしてRCで建てられた建築物は、100年はもつと良く言われていました。
関東大震災後に復興を目指して建てられた建物は16棟あり、完成したのが昭和4年のものでした。
16棟の内、1棟が築84年と保ち、その他は、平均70年程度は保っています。
国土交通省が発表している平均寿命によると、RCの建物の平均寿命は68年とされていて、100年も保てません。
人によっては、それでも70年程度は寿命があるのだから、うちの物件もまだ大丈夫だろうと思う方は多いのが事実です。
しかし、疑問に思ってほしいのですが、構造体は70年保てても、配管や配線、その他の設備はどはどうなのかということです。
昔の建物の給配管は、銅などを利用して作られたのもで、寿命は精々25年前後です。
錆によって給配管が破裂をし、建物が水浸しになった事故は数え切れません。
現在では、樹脂管と呼ばれるものが主流になっていますが、これも寿命は30年を目安とされています。
建物はしっかりした造りであっても、その他の設備が70年も持つわけではありません。
2014年11月に掲載された専門家のコラムにも、RCの建物の建て替えの平均は築後37年で、東京都は40年程度と書かれています。
これは、1970年代から1980年代に建てられた建物たちが建て替えられた結果からくるものです。
この年代に建てられた物件のほとんどが建て替えを行っています。
一般的な理由は、税金の優遇措置や対策が取れることにあります。
物件修繕を行わず放置するとどうなるのか
例えば築40年の物件を一度も修繕を行わずに現状維持、建て替えをしない選択をしたらどうなるでしょうか。
もう少し踏み込んで、「建て替えをしなくてもいいという選択をできる人」は何をしているのかを考えてみます。
上記選択をできる人は、長期修繕計画をし、資金計画を立てながら、マンションの耐久性能を低下させないように努めている人に限定されます。
5年から10年スパンで、修繕をしなければならない箇所をしっかりと補修し、必要な時期にその資金を投入できる様にする、またはしている物件に限られます。
当然、概ね30年から35年後には一部屋ずつ、入退去のタイミングで大規模修繕(フルリノベーション)工事を迫られます。
1R25㎡で、最低でも400万以上のコストが必要となります。
長期修繕計画を怠り、返済計画、修繕積立をしっかりと行えなかった方は、迫られた時にこの資金繰りに直面してしまいます。
最終的には資金繰りが難航し、土地や建物を手放さざるを得なくなります。
それはなぜかというと、賃料の減額をしなければいけないからです。
老朽化した物件より、近隣の綺麗なマンションやアパートを選ぶのはお客様としては当然の心理です。
入居者が集まらなければ、賃料を下げるしか集客方法がありません。
続いて、経年劣化による事故とその賠償のリスクがあります。
火災保険は経年劣化が原因の場合、保証はしてくれません。基本的には実費になります。
では、その資金をどうやって捻出するのかというと、「物件を売る」、「お金を借りる」、「稼ぐ」の3つ手段があります。
「物件を売る」は、簡単な可能性が高いです。
規模が小さい物件であれば買いたい人はたくさんいます。
しかし、規模が大きな物件などは、売ることが難しくなります。
大手や個人は買わない、もしくは買えないからです。
かなり安くないと買わないか、更地にしないと買わない傾向にあります。
個人は、その規模の建物を買えるだけの資金力がある方が少なく、6,000万を超える建物になると買える人が限られ始め、億単になれば当然少なくなります。
よって、中小企業など売り先が限定的になり、安く買い叩かれます。
大手を相手に売る場合は、基本的に「立ち退き」、「解体」、「整地(更地)」までやって売ることが多く、その費用が引かれます。
そうすることにより、買い手が見つかるようになります。
「お金を借りる」は、社会的信用が保てない、保てなかった人には、まず不可能な選択です。
建て替えや大規模修繕は大金が必要で、数千万から数億かかります。
このような金額を貸せるのは、銀行以外にいません。
銀行に信用がなければ借りるのは難しくなり、仮に貸して貰えるとしても、厳しい審査や条件などがついてきます。
持出分の負担があり、必要な資金の何割かは融資するが、あとは実費になる場合が多いです。
さらに、支払いの順は、自己資金から先が多いです。つまり、ある程度の現金がないと結果的に何もできないのです。
最後に「稼ぐ」ですが、稼ぎがあれば、社会的な信用もあるので、そもそも借り入れが行いやすいため、「お金を借りる」という方向に行きつきます。
こうなると選択肢は「物件を売る」か「お金を借りる」の2つとなります。
「お金を借りる」を選択できる人は、そもそも、長期修繕計画などをしっかり行うことができる方が多い傾向にあります。
長期修繕計画を怠り、資金繰りができない人は「物件を売る」以外の選択ができないので、最終的には土地や建物を手放さざるを得なくなります。
物件修繕放置で資金繰りに困った方の解決法
どうしたらいいの?と言う人もいるかもしれません。
解決法として、物件を売って残ったお金で、投資をします。
長期修繕計画もしくは、バイアウトを含めて、資産計画を立てます。
現実を見ないで、まだ大丈夫、もっと良い方法があるはずと放置していると、時間とともに事態は悪化していきます。
物件を売って、お金が残らなかった人は、気が付くのが遅すぎた結果です。
現実を受け止め、不動産投資などやその他の投資は行わず、勤労で稼ぐのがベストです。
お金が残った人は、気が付くのがまだ早かった人で、再起が可能です。長期修繕計画なども含め、計画が大事なのは説明してきた通りです。
計画をしっかりしていれば、大きく失敗することは少ないのです。
不動産投資での逆転劇の実例公開
おじい様含め3代の家族がいました。
おじい様は、昔から続く農家で土地を持ち、相続対策も兼ねてマンションなどを建てていました。
しかし、あくまでおじい様は農家です。計画など、ほとんどしていませんでした。
お父様は、おじい様の意思をついで農家に専念しており、そもそも農家以外のことに興味がなく、おじい様まかせでした。
ある日、おじい様が体調を崩されて、相続対策を考えなきゃいけなくなります。相続税は8億円が見込まれました。
おじい様は入院し、お父様はマンションなどのことは全くわからない状態でした。そんな大金を払うこともできません。
最終的に、お父様は、下の代の将来に係ることだからと、独学でマンション経営を勉強するようになります。
おじい様の前の代からの付き合いなどもありましたが、今まで付き合ってきた業者を全て変えました。
不要なものは全て売り、整理できるものは全て整理し、変えられるものは全て変えました。
おじい様の寿命もあり、短い期間で、資産の維持計画を考え、実行に移しました。
不要な債務は売却し、現代に合わないものは全て変え、計画を実行した結果、わずか3年で相続税が8億から1.6億まで減少ができました。
さらに、銀行との信頼関係も取り戻し、相続税対策として新築まで建てられる様になりました。
その後、更に5年で資産を倍以上にしました。
これは実際に身近な大家様であった話です。
幸いにも一時的に売れる物件があり、立て直すことが可能になった一例です。
長期修繕計画とは違いますが、長期的な資産運用の計画をしっかりと立て、一時的には資産を売らなければならない状況に追い込まれても、最後は当時の資産と比べて、倍以上の資産を保有することが出来る様になりました。
現実を受け入れるか、受け入れないかで、ここまで大きな結果を生む場合があります。
少しでも現実を受け入れられるのであれば、今からでも行動に移すべきです。
不動産ついてお悩みの方は、弊社「株式会社RISEリアルティ」までお問い合わせください。無料相談が可能です。